作:神崎京介 画・題字:板垣しゅん
〈この物語は〉
伊豆・修善寺に暮らす貧しい父母のもとで生まれ育った高校生、山神大地。
中学三年生のとき、美しい英語教師と触れ合ったところから、彼は女性の心と体を巡る、長い長い旅を歩きはじめる。
同級生、アルバイト先で出会った旅館の若女将、高校の先輩、先輩のお母さん……。時には豊かな心を持った女性と、またある時には欲望をぶつけるだけを考える女性と出会いながら——。
『週刊現代』での連載で大反響を呼んだ神崎京介の青春官能大河ロマン『女薫の旅』が、今再び始まる!

第十章 夢よ開け〈39〉

『女薫の旅 疾風篇』「先生がいくところ……、ぼくに見せてくれますよね。女の恥ずかしい姿を見せるんでしょう?」
 大地(だいち)は婉曲に言った。甘えたのではない。命じたのだ。先生を責めたら悦ぶかなと思ったからだ。先生の性癖を考えれば、立場を変えることが興奮につながるし、セックスの充実になるはずだった。
 浅はかだった。その想定が外れたことはすぐにわかった。
 先生はムッとした表情を浮かべて、まくし立てるように言った。
「君、勘違いしていない? わたしがなぜ、君の言いなりにならないといけないの? わたしがどうすれば気持よくなるかは、わたしが決めるの。君が指示して決めることではないのよ」
「ごめんなさい、先生……」
「そうよ、それでいいの。素直に従っていれば、わたしだって機嫌が悪くなることはないのよ」
 先生は言うと、満足げにため息を洩らした。語気の荒さは消え、険しかった表情も柔和になった。
「山神(やまがみ)君、まだいかないの?」
「いきそうです……」